シェエラザード上巻【浅田次郎】
おすすめ度90
読みやすい!
浅田次郎お得意のフィクションとノンフィクション混合の作品。
戦争で轟沈した豪華客船「弥勒丸」を引き上げようとする話。
現代の登場人物と戦中の船を取り巻く人々のエピソードが交互に展開され、謎解きにどっぷり引きこまれた。
よく知らなかったのだが阿波丸事件という事件があってそれを題材にしてるらしい。
いつもながらよく調査された重厚な歴史背景に感心する。
私が浅田次郎の作品の好きなところは綿密な歴史背景に加えて、当時を生きた人々の心境を共感させてくれるところ。
登場人物は理由もなく残虐なやつとか陰険なやつとかは出てこない。たとえそのように見えたとしても当時の状況だから仕方なかった、と必ず理由を(しかも美しく)描いてくれる。
この辺り一種のファンタジーだと思うが、
人の良心を描いている作品は読んでいて気持ちがいい。
関係ないけど浅田次郎の展開ははぐれ刑事に似てると思う。
下巻も楽しみ。